一歩一歩を大切に

山は人生を変えるのか?を知りたくて山に行く!

【道具考-装備】晩秋の1400m前後の山 晴れのち曇り 日帰り装備(1) と マムート ザック リチウム プロ28L

「山に行く時、何持ってく?」の装備のご紹介である。私の個人的装備であるため、「これが正解」という事はないがご参考までに紹介する。
前回は春の低山の晴れて暑い日を想定した装備をご紹介した。
http://yamawoaruku.hatenadiary.jp/entry/2019/04/21/202924

今回の条件を以下に示す。
【季節 】10月末 最高気温10度前後
【山】関東 標高1000〜1500mくらいの低山
   奥多摩などを想定
【日数】日帰り
【備考】途中給水不可
晴れのち曇り

いろいろな山行で共通するものももちろん多いが、それを含めて私は以下の装備を準備した。

1.ザックに入れていくもの
1.1 レインウェア

レインウェア 上 素材:ゴアテックス
レインウェア 下 素材:ゴアテックス
晩秋のため降雨時の寒さを考慮し、レイン手袋も。さむい時期に手が濡れて冷えるのは気が滅入るので手袋は忘れない。この辺は好き嫌いでも良いのかな。
レイン手袋そのものに「これは!」と思うものがまだ見つかっていない。
やっぱり濡れる。そして1度手袋を外したら、2度とはめられなくなるくらい引っかかるのはイライラしする。この2回目に買った手袋はぴったりサイズではなく、大き目のものにした。その方が外した手袋を再度はめやすい。まだまだ研究中である。いつか「これだ!」というものを探したい。
レインウェア上下はザックにしまう時、スタッフバックに入れずに直にパッキング。雨の時、素早く着る事が必要と感じる。もたもたしてたらだめだ。かつ、ファスナーはあらかじめ全開にしておくと着やすい。帰路、濡れたレインウェアをしまう軽い袋は別途ザックに入れておく。

1.2 エマージェンシーなどいろいろ

エマージェンシーシート
ツエルト
ティッシュ(水溶性のもの)
ウェットティッシュ
速乾性ハンドタオル
熊鈴
常備薬(痛み止め、胃腸薬、風邪薬、酔い止めなど)
バンドエイド&キネシオテープ(よく使う長さにカット)
ヘッドライト(前日に必ず点灯テスト)
膝サポーター

1.3 防寒着 その他

防寒着(薄手のフリース)
薄手のウィンドブレーカー
  超寒い時は フリース+ウィンドブレーカー
  +レインウェア の重ね着が出来るもの
帽子
指先だけ出るメリノウール手袋
  手が寒い時、手首が温かいと身体も温かい
  自身のお気に入り
保温ボトルにお湯 500ml
水 500ml ✖️2本
(追加して スポーツドリンク500mlも持参)
登山地図
ストック(ストックはお守りとして持参。普段はあまり使わないが)

2.ザックにしまう
上記の装備をザックにしまうが、まだ余裕あり。あとは行動食と登山中に暑くて脱ぐものを入れる。


最近日帰り用にお気に入りのザックは
マムート リチウム プロ 28リットル。
(MAMMUT LITHIUM PRO)
男性用女性用という区分はない。
これくらいの小さいザックは厳密に背面長云々しなくても、「背負いやすい」というフィーリングがあえばいいかなという気がした。それほど重い荷物になるわけでなし。

2.1 お気に入りポイント
1)軽い。870gくらい。30リットルザックで重いものは1400〜1500gのもあるので、この軽さは良い。体力自信が無い場合は軽いザックが良い。

2)ザック前面に小物入れがある。シンプルで小物入れが無いのが好かれる傾向があるが、逆に私は小物入れが付いているのが好きである。シンプルザックだとザック内がスタッフザックだらけになり、見つけたい物が下のほうにいって見つけにくいとか結構ありがちなので、ここのファスナー開けたらバンドエイドありと分かる感じが気に入っている。ファスナーがついていてもこの軽さが嬉しい。個人の好みによると思うが。

3)小さく軽いザックでありながら、背面がかたい。よく小さいザックは背面フレームが省略されてグニャグニャなのがあるが、これはしっかりフレームが入っているのが気に入っている。

また背面も全面メッシュじゃないのがいい。メッシュで覆われると逆に蒸れる感覚があり、背中にくっつく部分とそうでない部分がスパン!と分かれているのが蒸れない気がしてきた。そして背負っていて楽な背中当たり。歩きやすい。

4)ウエストベルトの小物入れは1つでいい。
小物入れが好きと言った2)と相反するようだが、ウエストベルトの小物入れは2つもいらないかもとなんとなく思っていたが、このザックで「やっぱりそうだ!」と思った。
片方だけの小物入れは写真を撮るためのスマホだけ入れている。
そして驚くべきは「ファスナーが開け閉めしやすい」。これすごい。ザックを背負ったまま、開け閉めしやすいザックってそうそう無いかも。(最近はその辺が改良されるザックも多くなってきたような)ファスナーは付いてりゃいいってもんじゃなくて、開け閉めしやすいことが重要。開けれるけど閉めにくいとか、閉めやすいけど開けにくいとか。そういう経験があるとウエストベルトの小物入れいらねーとか思うようになる。
そしてこのザックのウエストベルト小物入れの小技としては、ものを出し入れしやすいようにひだがついている。

このひだのおかげで出し入れしやすく、さらに開け閉めしやすいファスナーで、写真を撮るために頻繁なスマホ出し入れにストレスがなくなった!
スマホが出し入れしやすくなると、以前から歩いている時には不要かなと思っていたサコッシュを持つ必要がなくなった。荷物を減らせる効果に繋がった。

5)雨蓋の裏の小物入れはメッシュが好き。
 湿気がこもらない、頻繁に使うものじゃないけど必要なものを入れ、開け閉めするたびに「あるな」と確認できるのがお気に入り。いざ必要な時にはここに確実に入ってるとわかる。
ヘッドライトや自宅鍵などを入れる。したがってキーリング的なものが付いていてグッド!

6)色が好き!

2.2 困った点
1)薄い色のせいか汚れが目立つ。
なんとかしたい〜(//∇//)

3.着て行くもの

晩秋という事でファイントラックのドライレイヤー半袖を着用。
長袖シャツ(アークテリクス フェイズAR)に半袖シャツ(山小屋お土産Tシャツ)の重ね着。
登る時は暑いので薄着。だが、胴体は冷やしたく無い。暑い暑いって、どこが暑いんだろうと思ったら、私の場合、二の腕が暑いのだ。ここさえ暑くならなければ、結構身体も楽になるのにな。
ロングパンツ。薄手だが冷えることが無い機能のもの。(モンチュラ )

早朝移動時は寒いので、薄手フリースを着ていく。
脱いだり着たり、山歩きは忙しいのだ。

【南東北】2015/11 安達太良山の空を見に行く(2)

2)-1 新幹線+在来線+路線バスで安達太良山登山口に行く

 

前日に、みどりの窓口にて乗車券と新幹線特急券を購入。都内を6時台に出る東北新幹線に乗車。郡山駅は思いのほか近い。郡山駅から在来線に乗り継ぎ、無事二本松駅で下車。

バス停を探す。わかりやすいロータリーのところにあった。路線バスと言えども、季節運行のため運転日は要チェックである。概ね11月1週目で終わりだ。

バスに乗る時間に若干余裕がある。行列が出来るものの、余裕で座っていける感じだ。奥岳登山口バス停まで一直線に進む。SuicaPASMOは使えず、現金支払い。

 

2)-2 ゴンドラに乗って登山スタート

バスを降りると目の前にゴンドラ乗り場がある。ここは楽してゴンドラに乗る選択。

あだたらエクスプレス。

ゴンドラからの眺めはなかなか素敵である。

カラマツが黄色くなっているサマが綺麗だった。

ゴンドラを降りると登山ポストあり。記入し、下の半券を切り取って提出する。半券は下山届になるので無くさないように。

 

2)-3 稜線に続く道

紅葉が終わった11月は人が少ないのが良い。やはり静かな山歩きは気持ちがいい。

山の上の方がうっすら白く見える。雪では無さそうだ。霜だろうか。

薬師岳というところを飛ばしてしまったが、そここそが「ほんとの空」の場所だと後で知り、残念に思う。が、私の場合はまた来る口実になるのでそれも良いかと先に進む。

やがて遠くに碑が見え始める。

安達太良山」と書いてある!草などが無い荒凉とした風景だ。惹かれる。どこかの惑星に来ちゃった感がじわじわ来る。

頂上の岩場は鎖があり、今の私には無理だと悟って稜線方面に向かう事にした。

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2)-4 安達太良山の稜線歩き

安達太良山は意外とスケール大きく見えるが、思ったより時間がかからない。

稜線牛の背を歩く。噂通り風が強い。稜線の霜もとても綺麗で、とても嬉しくなっって「うっほほーい!」と叫びたい心境になる。
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やがて 爆裂火口へ。

この風景も圧倒される。「うひゃー」と声が出てしまう。非現実感を思いっきり感じられる。来て良かった。見れて良かった。

ウキウキワクワクが止まらない。
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爆裂火口を過ぎ、くろがね小屋方面へ降りる分岐まで来た。すごいものがある!エビの尻尾。

初めて見た。想像より規模が大きい!!f:id:myownlifetamako:20191016182916j:image

11月に来てよかった!

エビの尻尾はちなみに風上に向かって成長する。山の上はたいてい西風だ。だからエビの尻尾の先は西かなぁ。

 

2)-5 くろがね小屋へ

稜線からくろがね小屋方面に降りていく。峰の辻という標識の所まで来ると、あちこちの岩に「くろがね小屋→」という記載あり。

どんどん降りていく。

やがて屋根が見え始める。本日も無事到着!

小屋で受付をすると「もう入れますよ」と。

硫黄の香り漂う白濁温泉へ。

冷え切った身体がジンジンと温まる。今日疲れた足と足の裏には特にジンジンくる。思わず「極楽極楽」と独り言。

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夕食は名物のカレー。美味しい!大人のスパイシー甘口カレー。おかわりは「半分お願いします」と言ったが普通にいっぱいだ。来年は1/3と言おう!

もの静かなソロ女性から途中で買ったというお漬物をいただく。山形から来たとの事。彼女の質問が面白かった。

「電車とかで来ると、帰りのお風呂はどうしてるんですか?私は車の中にいつもお風呂セット置いてるんで。」と。

私の答えはこう「お風呂入らずに汗だくのまま電車乗って帰ります」

が、彼女にとっては衝撃の回答だったようで「えーーーーーーー」と驚かれてしまった。

今どきの山ウェアは防臭とか消臭とか当たり前の機能だと思うのだが。もしかしたら、今までも匂ってる?やや心配になる。

お話がうまいおじさまの「登山を再開したきっかけ」を思いっきり聞き、楽しい思いをして、再度温泉に浸かって、就寝。よく眠れました。

 

2)-6 下山

くろがね小屋で朝ごはんを食べ、出発。

本日は下山のみ。だが、帰りのバス時間の何時間も前にバス停についてしまう。バス停そばの登山ポストに下山届を出す。出発まで時間潰すの大変そう、と思っていると、24時間前に自分が乗ってきた朝一の到着バスが到着した。回送バスの運転手さんに「乗れますか?」と、すかさず聞いてみた。我ながらすごい勇気。

岳温泉までだよ」と300円の普通の運賃で岳温泉バス停まで。ありがたい。岳温泉バス停まで来れば二本松駅行きのバス本数は比較的多い。

在来線、新幹線を乗り継ぎ、昼過ぎに自宅着。

今回も感動の山旅終了。

よかった!しみじみ良かった。

 

来年もまた来るよ(*´∀`*)

 

【南東北】2015/11 安達太良山の空を見に行く(1)

2015年10月 上高地にて高村光太郎と智恵子の存在が私の中で俄然クローズアップして来た。

安達太良山にはどう行ったらいいのだろう?

まだ未知の場所である。

遠いので、是非泊まってゆっくりしたいとも考えている。

 

計画

計画)-1 どのコース歩く?

初めての場所は王道の登山コースを検討する。どうやらゴンドラで上がり、安達太良山を通過してくろがね小屋の方に抜けて、また出発点に周回するコースである。このコースなら、悪天候でも戻ったり、最初から悪天候の場合はゴンドラに乗らず最短でくろがね小屋まで行っておく、などなど天候によってエスケープが可能な感じである。

 

計画)-2 公共交通機関はある?

私は公共交通機関を利用して山に行く。

安達太良山登山口(奥岳登山口、ゴンドラ乗り場)に行くバスを調べる。

どうやらJR二本松駅から路線バスが出ているようだ。だが本数は少ない。朝1番のバスは奥岳バス停直通である。それ以外は岳温泉で乗り換えがあるなど、乗り換えができるかどうか確信がなかなか持てない。東京を早朝出て乗れるバスであるかどうか。

奥岳登山口行きバスに乗る為の電車を逆算していく。すると

東北新幹線で東京ー郡山

郡山乗り換えで在来線 郡山ー二本松で十分間に合う事がわかった。これだ!と思った。

 

計画)-3 どこに泊まる?

2015年 初山小屋泊をしてから、山小屋好きになってしまった。だから山小屋に泊まりたい。

くろがね小屋だ。

くろがね小屋のWebサイトから空きを確認する。そしてどうやら電話での予約が必要なようで、電話にて予約完了。

この一年で山小屋を何件か宿泊させていただいたが山小屋に寄って予約方法は電話だったり、メールだったり予約フォーム画面からだったりといろいろだ。絶対予約が必要だったり、一定人数以上のみ予約が必要だったりといろいろ違う。

私は「泊めていただく」というスタンスでいるため、その山小屋のやり方に沿う形で宿泊したいと思うタイプなので予約に関する情報などは事前に調べてあげるのが、これまた楽しみの1つになっている。

 

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さて、交通機関も小屋の予約もオッケーなのであとは行くだけだ〜!
行く前に当然かもしれないが、高村光太郎智恵子抄」の文庫本を買った。

つづく

【北アルプス】2015/10 北アルプス初級者、秋の涸沢に行ってみたい(2)

2015年北アルプス初級者として北アルプスデビューし、とうとう4回目の北アルプスになった。一歩一歩進むごとに、北アルプスはびっくりするような風景を私にプレゼントしてくれる。どんどん、どんどん北アルプスが好きになる。

 

(2)-1 本谷橋から涸沢へ

本谷橋を過ぎると登山道は登りにさしかかる。

またまた息が上がり、休憩を重ねながら少しずつ進んでいく。あんまりゼエゼエ言いながら座り込むものだから、本当に具合が悪いのではないかと他の登山者に心配される。

こんなゼエゼエおばさんの1人歩きでも、心配して声をかけてくれるって、登山者はなんて優しんだ!と心が温まる。

苦手な岩っぽい道は大きく左に回り込み、眼下に谷が見えるようになると、突然あたりが開けてくる。

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地図で場所確認。まだまだ先は長いが、登山道が明るくなると気分も明るくなる。眼下の谷はだんだん登山道に近くなり、ナナカマドの赤が目立ってくる。思っていたほど歩いている人は多くない。
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ナナカマドの横に立っていた男性が「すみませーん」と私を手招きする。ゴツゴツした苦手な岩の上を歩いて近づくと「シャッター押してもらえますか?」と聞かれる。高そうな一眼レフのカメラにドキドキしながらシャッターを押す。

静かそうに見えた男性は思いっきり笑顔で明るい決めポーズをとるもんだから、内心びっくりした。決めポーズいいなぁ。

 

遠くに建物が見える。

もう少しで夢に見た涸沢だ!ヒーヒー言いながら一歩一歩進む。涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐へ到着。最後の200mくらいは辛くて辛くて立ち止まりを繰り返す。

 

(2)-2 涸沢小屋へ

涸沢小屋着。山小屋に到着すると落ち着く。

それ以前に「命の心配をしないで明日を迎えられる喜びが沸く」のかもしれない。山を始めるまで「明日の命」まで考えた事は無かったと思う。厳しい自然の中で人間の生物的な弱さを感じながら、それでも歩いていく。体力もまだまだ無いのに。自分の弱さに正面から向き合い、自分の命を大事に思う。そんな日が人生の中で起こるなんて思いもしなかった。

涸沢小屋は思いのほか空いていた。ゆっくり過ごせる。テラスに出てコーヒーを飲んだ。ああいいところだ。涸沢のテント場素敵だな。

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夕食は鶏肉のソテーにトマトや野菜で作ったソースがかかっている。イタリアンが食べられるとは!美味しく完食。

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同じ部屋になった女性2人組といろいろお話する。印象に残った山の話で「爺ヶ岳」の名前を聞く。いつか行ってみたいと思う。

 

(2)-3 涸沢の朝

夜明け前。目がさめる。

皆外へ外へと暗い中向かう。

私もつられて。

やがて山は赤く輝いた。生まれて初めてモルゲンロートを見た。テラスから身体を乗り出して北穂高岳方面に目が釘づけになって。自然現象は早々見られるものではないと思っていたが、間近で見られてなんとラッキーな事か。

当初は 涸沢 という地名しか知らなかったが、周りにそびえる山こそ人気の穂高岳だ(キタホ、オクホ、マエホ&吊り尾根)と気付く。山の迫力凄い!迫ってくる!

朝ごはんをたっぷり食べて、さあ帰ろう。

 

(2)-4涸沢から上高地バスターミナルへ

帰りは東京駅行きの直通バスを予約してる。

時間はあるのでゆっくり降りよう。

前日あれほどヒーヒー言って登ってきたが、帰りは早い。下りは得意だ。

本谷橋まで戻ってくると、登山もいよいよ終盤である。それにしても山を歩くとお腹が空く。

横尾から林道歩きがまた始まる。お腹はどんどんすく。森の中でカレーの香りが漂ってきた。

たまらない。その香りを嗅ぎながら歩くと程なく徳沢に到着。

1人で山は行けるけど、1人で食堂には入れない私。勇気を出して自分の殻を破ろう!

1人で食堂に入れた!すごいぞ自分!!

カレーライスいただきます。

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カレーライスを食べ終わる頃、周りの人達がソフトクリームを食べている事に気付く。

1人でカレーライスで精一杯の自分。勇気を出してソフトクリームが食べられるだろうか?食べてみたい、勇気を出して。おずおずとカウンターに進む。何もまだ声を出していないのにカウンターのお姉さんは「ソフトクリームですね」と。すごい、エスパーだ!!!私の顔が不安から微笑みに変わる。

 

やがて賑わいを見せる上高地に到着。バスの時間までまだ余裕があるので、ビジターセンターとインフォメーションセンタをじっくり見て歩く。

高村光太郎がスケッチをしに上高地に滞在していた時の話があった。奥様は言わずと知れた智恵子である。私は智恵子は身体が弱いイメージを持っていたのだが、智恵子は光太郎に逢いにルンルンと上高地にやってきたという。その当時はまだ釜トンネルもなく、徳本峠を超えて来たのだ!智恵子、健脚!智恵子が来ると言うので光太郎もルンルンと徳本峠までお迎えに行ったという。2人の健脚さに猛烈に驚いた。

やはり安達太良山にも行ってみたいなとふと思った。

 

初めての上高地、初めての涸沢。私にとっては決して楽な行程ではなかったが、しみじみと自分の人生にいろいろと影響を受けたような気がする旅だった。

バスに乗り上高地を去る。

天気はこれより下り坂だと言う。

帰宅後、北アルプスに初雪が降ったと聞いた。

2015年の楽しい北アルプスはこれで終了。

来年もまた!

 

【北アルプス】2015/10 北アルプス初級者、秋の涸沢に行ってみたい(1)

何度か北アルプスに足を運ぶようになると「涸沢」というキーワードが耳に入ってくる。

紅葉すごい とか。

布団一枚に3人で寝る とか。

人がいっぱい とか。

人が多く集まる所は苦手ではあるが、心が「行ってみたい」方向に相当傾いていた。

そう思うといてもたってもいられず、登山地図を購入。

まずは自分が行けそうかどうかを地図およびその他情報をもとに調べまくる。

等高線はどうか、とか、岩場っぽいかどうか、とか、地図があるだけで結構幸せになれる自分に気づく。

そして行く決心を固め、次に交通手段と山小屋の調査を開始。

楽しい!こういう計画作業中の高揚感と楽しさはいったいなんなんだ!

気をつける点は、北アルプスはもういつ雪が降っても良い状況であると言うこと。降雪があったら、来年まで待たなければならない。

1泊して朝起きたら一面の雪という可能性もある。念のためではあるが一応軽アイゼンも持って行こうと思った。

 

行きは毎日あるぺん号を予約しようと思ったのだが、平日と休日で行こうと思ったためあるぺん号がなかった。いろいろ探すとさわやか信州号なる夜行バスが東京ー上高地に出ているではないか!無事予約!

山小屋も電話をして無事予約出来た。

あとは、行くだけ!!まだ雪が降りませんようにと祈る。

 

夜行バスに乗るのも4回目になった。

全く苦にならないので、ホッとしている。

初めての上高地だ。それも楽しみである。

 

1)-1 上高地

バスは朝5:20頃 上高地バスターミナルに到着。

バスを下車すると、思わず「寒い!!!」と声が出る冷え込みだった。まだ真っ暗なバスターミナル。

寒いのでどこか室内にと、上高地バスターミナルにある有料トイレに駆け込む。

有料トイレ内は快適だった。広い場所があるので身支度が出来た。

身支度を済ませ、外に出て持参した朝ごはんを食べると夜が明けてきた。

よし、横尾に向かって出発だ。

今回の懸念事項は上高地バスターミナルから横尾までの距離が10kmちょっとある事である。その長い距離を歩いてから涸沢までの登りは大丈夫だろうか。心配を抱えながらスタート。

 

出発していきなり河童橋が見えた。

写真でよく見る光景に心踊る。

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横尾までは11kmの道のりであるが、平らな道は梓川沿いであり、想像よりも歩きやすい。

明神、徳沢、横尾と休暇ポイントがはっきりしているところも歩きやすい一因であろう。

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1)-2 横尾から本谷橋

横尾は涸沢方面、槍ヶ岳方面、蝶ヶ岳方面への分岐する場所だ。

横尾から涸沢方面へ曲がる。ここからは登山道。梓川にかかる橋を渡ると気持ちが引き締まる。

登山道ではあったが、本谷橋までは急な坂道やら危ない道もなく、いつもゼーゼーハーハーする私も比較的穏やかに進む事が出来た。

川沿いの道の反対側に大絶壁の山がある。その山を見ながら、山を回り込むように登山道は続く。

そういえば出発直前に見たSNSで「涸沢の紅葉は見頃を過ぎた」という書き込みがあった。

ただし横尾から本谷橋へ進むうち、木々の葉がだんだん黄色く色付いて来ているのを見ると嬉しくなってきた。

私は人生の中でわざわざ「紅葉を見に行こう」なんて思った事はなかった気がする。

そう思うと、ちょっと自分は変わってきたかもと思わずにいられない。歳をとったせいなのか、自然に触れる事が多くなったせいなのか、登山を始めたせいなのか。ただ、昔の自分より今の自分の方が偏屈さが随分減ってきて好きだ。

人の声がたくさん聞こえてきた。

本谷橋についたのだ。

青空が広がっている。

皆、河原の石の上でランチタイムだ。

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つづく

 

 

 

 

 

【北アルプス】2015/09 北アルプス初級者が頑張って行く立山三山(3) 初縦走終了

内蔵助山荘はご飯も美味しく快適だった。

私は昨日の自分の体力を省みないスケジュールの変更(浄土山登山の追加)を心底反省していた。

スケジュールをもっと検討すべきか、体力をもっとつけるべきか。いや、どっちもだろう。

体力とは何かが問題である。

登山で「体力」と検索すると持久力とかいろいろ出てくるが、そういう事の前にやらなければいけない事があったと気づいたのが2018年後半から2019年にかけてである。

私のように

      息が切れやすい

      すぐ疲れる

      のちに(2017-2018)膝痛(膝の外側)

というトラブルに常時悩まされている場合、いろいろ勉強を重ねると原因はたった1つであった。

そこを気をつけると直ぐに8割ほど改善する。その改善1つだけで「体力がないわけではなかった。息が切れやすいわけではなかった。外側の膝痛はすぐ治るものだった」と体感出来る事に感動する。(もちろん個人毎に状況は違うと思う)

おそらく、無意識で出来ている人と無意識では全く出来ず意識しないと出来ない人の差だったのだと思う。

もともとそれが出来ていない人に「頑張れ」とか「普段からトレーニングした方がいい」とか「おしゃべり出来るくらいゆっくり歩く」とか「呼吸は吐いてから吸うのよ」とか「膝を着地時にクッションのようにして」というのはすぐには全く役に立たないアドバイスである。そのたった1つの改善を行った後でないとこれらのアドバイスは有効にならないのだ。

1つの改善はそういう一連のトレーニングの前提条件になる。前提条件を満たしてないのにアドバイスのような行動をとったりトレーニングをしたりしても無駄な努力となってしまうという事を痛感する。

これについては後程、別途述べたいと思う。長い話になりそうだ。

 

(3)-1 2日目 内蔵助山荘の朝

夜明けを見てみようと思った。

天気が良さそうである。

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ああ山の夜明けは美しい。こういうのは地元 東京下町では見る事が出来ない。
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時間とともに色が変わって行く。

気付くと富士山も見えたりする。日本海側の富山から太平洋側の富士山が見える事に感動する。富士山が高いのか、立山が高いのか、日本列島が狭いのか、いろいろ思いはよぎるが美しい光景である事は間違いない。ただただ見とれる。

 

(3)-2 2日目 真砂岳別山雷鳥坂下るー室堂

 

内蔵助山荘から真砂岳稜線に戻る。

昨日はいろいろな焦りにより、美しい立山を満喫する事もそこそこになった。が、立山の美しさは私の心に刻まれ、また来たいと思うようになった。

別山への上りが始まる。別山を上りきると穏やかな広い場所に出た。たおやかな感じを受ける。

森林限界を超えた場所の広い場所、こういう場所が好き。

別山から劔午前小舎までの稜線歩きも素晴らしい眺めである。室堂全体が見渡せる。

ふと黒い山が目につく。

あれはもしかしたら劔岳?色が違うってことは、その山を構成する岩石も種類が違うんだろうなと、なんとなく地学科卒の私は考えながら歩いたりした。
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劔午前小舎の屋根が見えてきた。

稜線歩きもそろそろ終わりだ。

雷鳥坂を下る。下ってからの雷鳥沢までのゴロゴロ岩の道がなんとも歩きにくかった。まだまだ学ぶ事がいっぱいある。

雷鳥沢テント場に到着。テント泊も気持ち良さそうである。いいなぁ。私はテント泊は無理かな。決め付けていいのだろうか。

 

美しい立山だった。山行が終わり、反省は多かったけれど立山は美しい。また来たい。秋も来たいが、別の季節も来たい。冬は来れるのか?いろいろ調べる事が増えたのも嬉しい宿題として取り組もう。

 

帰りはまた富山駅方面に向かう。メールが入った。スタイリッシュ女子からである。

「もしかして立山とか行ったのではないかと思ってます」と。やはりスタイリッシュ女子はエスパーである。

 

(4)反省

立山三山に行く計画を立てた時、一の越からの登山を最初に検討した。それでも自分のその時の体力を考えると劔午前小舎まで行くのも自信がなかったため、その手前の内蔵助山荘に泊まろうと思っていた。また、是非泊まってみたい山小屋だった事もある。

そして予約出来たバスは東京から室堂直通のバスではないため、室堂スタート時間が遅い事もあった。山行計画としては「一の越から内蔵助山荘に向かう。」でいいはずであった。

今回のスケジュールミスは自分の行動に起因していた。コースに無かった浄土山を急遽入れたためである。あれだけ検討していたにもかかわらずである。

いくら浮かれていたとはいえ、急なコース変更はこれからはやめようと思った。コース変更した時点で自分の体力とアップダウンなどの高低差を即座に再検討するのは難しい。浮かれていれば余計である。

素敵な場所だからもっと見たいという気持ちはあったとしても、何回も繰り返して来るのが私にとっては1番ベストだろう。無理はしない。

なるべく疲労の度合を少なくした方が山そのものを楽しめる。

 

いろいろ反省しながら帰りの新幹線。

鰤の寿司も美味しいなぁ。

そして実の所、浄土山が大好きになった。

別山もお気に入りになった。

好きな山が出来るっていいなぁ。

繰り返し立山には来よう。

 

もっと成長出来るかな。

まったりしながら帰宅。

 

 

【北アルプス】2015/09 北アルプス初級者が頑張って行く立山三山(2) 大いなる反省

(2)-1 コース

室堂から立山三山グルっと一周の山行である。

1日目:室堂ー一の越ー雄山ー大汝山ー富士の折立ー真砂岳ー内蔵助山荘(泊)

2日目:内蔵助山荘ー別山ー劔午前小舎ー雷鳥坂ー雷鳥沢ーみくりが池ー室堂バスターミナル

 

室堂に到着した時、立山の美しさに喜び、浮かれていたのだ。

立山黒部アルペンルートを利用したので室堂着は9:00である。自分の体力の無さも忘れて私は唐突にコースを変えた。浄土山から行ってみようと。

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死にそう、とか、怪我したとか肉体的な痛みは無かったものの、心がチクリと痛くなる失敗の経験をした。スケジュールの大切さを身をもって山から教わったのが今回の山行である。

 

(2)-2 1日目 室堂ー室堂山ー浄土山

スタートは9:15になっていた。

私はまず浄土山に向かう。

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秋めく山々にひたすら浮かれる私。

体力の無さもすっかり忘れて。

浄土山に行くためににまずは室堂山の展望台方面へ進む。少し高度が上がるたびに室堂の景色に驚き、そして浮かれる、の繰り返しになる。

次第に高度を上げて行く。「素晴らしい」としか言いようのない風景に圧倒され続け、バカな私は浮かれてホイホイである。

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あ〜、秋に来れて良かった〜!

9月中旬の室堂はすっかり秋だった。下の世界はまだ夏なのに。
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空とか雲海とか雪とか紅葉とか、人生長く生きてきましたが見たこともないコラボレーションにハッとする。

私の目は今まで何を見てきたのか?

本当に見るべきものを私はまだ見ていないのではないか?
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室堂山の展望台から少し戻り浄土山へ。

岩がどんどん増えて行く。岩っぽい登山道はもしかして「初」!

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浄土山の頂上到着。向かいに雄山が見える。

今日はあの雄山まで行ってその先の内蔵助山荘に泊まるのだ!幸せだ!と素直に思った。

だが、この時点で時間は12時になろうとしていた。

そして体力もない。

このヤバさに気付き始めた私は早々に一の越へ降りて行く。

 

(2)-3 1日目 一の越ー雄山ー大汝山

一の越で13時である。遅い。数年後の私なら13時から一の越スタートの雄山登山なんて絶対しないし計画も立てないだろう。

時は9月である。日暮れも早いこの時期だ。

 

雄山へ。ここで体力の無さ炸裂である。身体が前に進まない。身体が上に上がっていかない。

ヒーヒーゼーゼー。うるさいくらいにヒーヒーゼーゼーを繰り返す。

雄山に無事についたものの座り込んで息を鎮める始末である。

神主さんがそばによってきた。たしか「祈祷はされますか?」みたいな内容だった。私はヒーヒー言ってるだけで言葉を発する事が出来なかった。神主さんはそっと離れて行った。ヤバいです。私、この時、相当変な人だったと思います。

雄山で既に15時である。

本来なら山小屋についていなければならない時間である。

雄山から更に進む。そうだ山小屋に時間の遅れを連絡しよう!自分のauでは圏外が多かった経験を基に社用携帯ドコモ持参した。

山小屋に無事連絡出来た。ああ、きっと怒られちゃうな。それよりも私の今の状況の方がヤバい。疲労と日没との戦いがスタートである。

大汝小屋が見えた。16時。

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疲労困憊である。2人の登山者と小屋番さんが小屋前で談笑している所に割り込んでしまった。

「この先の山荘を予約してるんですけど、とても疲れてしまって。。。」と言い訳のような、自分の不甲斐なさのぼやきも言いたいし、私のひっ迫した状況を知って欲しいような、などなど複雑な気持ちだった。

大汝小屋の小屋番さんは「ここに泊まって行ってもいいよー」と優しい言葉をかけてくれたが、私は先に進む事にした。おそらく小屋番さんの判断の方が正しいと後から感じる。

大汝小屋内に「菫小屋」看板があったのが和めた。

 

(2)-4 1日目 富士の折立ー真砂岳ー内蔵助山荘

富士の折立から急な下り坂になる。岩っぽい道も随分慣れてきた。怖くない。

怖いのは日没だ。

もう誰も歩いていない。1人旅だけど、周りにも誰もいない怖さを感じる。

今日最後の真砂岳への上り。ひたすらきつい。

気が遠くなりそうだった。

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真砂岳の頂上には、1人青年が座っていた。

「どこ行くの?」と聞かれる。

「内蔵助山荘」

「こっちからすぐだよ」と指さしてもらった。

「ありがとう!」

私は進む。

 

程なく内蔵助山荘に到着。日没前で良かったと思うと足が震え出した。

私は怒られる事もなくチェックインし、山荘の説明を受け、夕食をいただいた。

もう夕食の時間は終わっていた。私は1人夕食をいただいた。

自分の体力の無さ、計画力の無さに対する不甲斐なさと自分に対する怒りで涙がポロポロ溢れてしまった。

涙と一緒に食べたアジフライは美味しかった。

 

続く