一歩一歩を大切に

山は人生を変えるのか?を知りたくて山に行く!

【北アルプス】2015/10 北アルプス初級者、秋の涸沢に行ってみたい(2)

2015年北アルプス初級者として北アルプスデビューし、とうとう4回目の北アルプスになった。一歩一歩進むごとに、北アルプスはびっくりするような風景を私にプレゼントしてくれる。どんどん、どんどん北アルプスが好きになる。

 

(2)-1 本谷橋から涸沢へ

本谷橋を過ぎると登山道は登りにさしかかる。

またまた息が上がり、休憩を重ねながら少しずつ進んでいく。あんまりゼエゼエ言いながら座り込むものだから、本当に具合が悪いのではないかと他の登山者に心配される。

こんなゼエゼエおばさんの1人歩きでも、心配して声をかけてくれるって、登山者はなんて優しんだ!と心が温まる。

苦手な岩っぽい道は大きく左に回り込み、眼下に谷が見えるようになると、突然あたりが開けてくる。

f:id:myownlifetamako:20191002191503j:image

地図で場所確認。まだまだ先は長いが、登山道が明るくなると気分も明るくなる。眼下の谷はだんだん登山道に近くなり、ナナカマドの赤が目立ってくる。思っていたほど歩いている人は多くない。
f:id:myownlifetamako:20191002191456j:image

ナナカマドの横に立っていた男性が「すみませーん」と私を手招きする。ゴツゴツした苦手な岩の上を歩いて近づくと「シャッター押してもらえますか?」と聞かれる。高そうな一眼レフのカメラにドキドキしながらシャッターを押す。

静かそうに見えた男性は思いっきり笑顔で明るい決めポーズをとるもんだから、内心びっくりした。決めポーズいいなぁ。

 

遠くに建物が見える。

もう少しで夢に見た涸沢だ!ヒーヒー言いながら一歩一歩進む。涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐へ到着。最後の200mくらいは辛くて辛くて立ち止まりを繰り返す。

 

(2)-2 涸沢小屋へ

涸沢小屋着。山小屋に到着すると落ち着く。

それ以前に「命の心配をしないで明日を迎えられる喜びが沸く」のかもしれない。山を始めるまで「明日の命」まで考えた事は無かったと思う。厳しい自然の中で人間の生物的な弱さを感じながら、それでも歩いていく。体力もまだまだ無いのに。自分の弱さに正面から向き合い、自分の命を大事に思う。そんな日が人生の中で起こるなんて思いもしなかった。

涸沢小屋は思いのほか空いていた。ゆっくり過ごせる。テラスに出てコーヒーを飲んだ。ああいいところだ。涸沢のテント場素敵だな。

f:id:myownlifetamako:20191002191508j:image

 

夕食は鶏肉のソテーにトマトや野菜で作ったソースがかかっている。イタリアンが食べられるとは!美味しく完食。

f:id:myownlifetamako:20191002191515j:image

同じ部屋になった女性2人組といろいろお話する。印象に残った山の話で「爺ヶ岳」の名前を聞く。いつか行ってみたいと思う。

 

(2)-3 涸沢の朝

夜明け前。目がさめる。

皆外へ外へと暗い中向かう。

私もつられて。

やがて山は赤く輝いた。生まれて初めてモルゲンロートを見た。テラスから身体を乗り出して北穂高岳方面に目が釘づけになって。自然現象は早々見られるものではないと思っていたが、間近で見られてなんとラッキーな事か。

当初は 涸沢 という地名しか知らなかったが、周りにそびえる山こそ人気の穂高岳だ(キタホ、オクホ、マエホ&吊り尾根)と気付く。山の迫力凄い!迫ってくる!

朝ごはんをたっぷり食べて、さあ帰ろう。

 

(2)-4涸沢から上高地バスターミナルへ

帰りは東京駅行きの直通バスを予約してる。

時間はあるのでゆっくり降りよう。

前日あれほどヒーヒー言って登ってきたが、帰りは早い。下りは得意だ。

本谷橋まで戻ってくると、登山もいよいよ終盤である。それにしても山を歩くとお腹が空く。

横尾から林道歩きがまた始まる。お腹はどんどんすく。森の中でカレーの香りが漂ってきた。

たまらない。その香りを嗅ぎながら歩くと程なく徳沢に到着。

1人で山は行けるけど、1人で食堂には入れない私。勇気を出して自分の殻を破ろう!

1人で食堂に入れた!すごいぞ自分!!

カレーライスいただきます。

f:id:myownlifetamako:20191002191511j:image

カレーライスを食べ終わる頃、周りの人達がソフトクリームを食べている事に気付く。

1人でカレーライスで精一杯の自分。勇気を出してソフトクリームが食べられるだろうか?食べてみたい、勇気を出して。おずおずとカウンターに進む。何もまだ声を出していないのにカウンターのお姉さんは「ソフトクリームですね」と。すごい、エスパーだ!!!私の顔が不安から微笑みに変わる。

 

やがて賑わいを見せる上高地に到着。バスの時間までまだ余裕があるので、ビジターセンターとインフォメーションセンタをじっくり見て歩く。

高村光太郎がスケッチをしに上高地に滞在していた時の話があった。奥様は言わずと知れた智恵子である。私は智恵子は身体が弱いイメージを持っていたのだが、智恵子は光太郎に逢いにルンルンと上高地にやってきたという。その当時はまだ釜トンネルもなく、徳本峠を超えて来たのだ!智恵子、健脚!智恵子が来ると言うので光太郎もルンルンと徳本峠までお迎えに行ったという。2人の健脚さに猛烈に驚いた。

やはり安達太良山にも行ってみたいなとふと思った。

 

初めての上高地、初めての涸沢。私にとっては決して楽な行程ではなかったが、しみじみと自分の人生にいろいろと影響を受けたような気がする旅だった。

バスに乗り上高地を去る。

天気はこれより下り坂だと言う。

帰宅後、北アルプスに初雪が降ったと聞いた。

2015年の楽しい北アルプスはこれで終了。

来年もまた!