一歩一歩を大切に

山は人生を変えるのか?を知りたくて山に行く!

【道具考】私、ストックやめました <ストック依存を脱出し登山の悩みの膝痛克服への序章!>

ハイキングや登山でストックを使っていた。
それはそれで良いのかもしれない。
が、私の場合、だんだんストックに頼りきりになってきた。ストック無しでは歩けない。
特に岩っぽいところはストックをしまって歩くのであるが、その際足元がたまらなく不安定で、岩場が怖いと思うようになったのだ。
そして、ストックをついて歩く時、前に進もうと思うあまり、身体がどんどん前傾になっていく。上りも下りも。そんな前かがみの姿勢のせいか、息切れや疲労がさらに激しくなってきた。

なんのためにストックを持っているか分からなくなった。
そして、シンプルに普通に歩けるようになりたいと思った。

まずはストック無しで安定して歩けるように頑張ろうという事を目標にした。ストックを手放すと前かがみ度が少し減る。そして、思ったところに足を運べるように一歩一歩気を使った。やがて少し安定して歩けるようになった。

このまますんなり、ストックを卒業出来ればよかったのだが、ひょんなことから知り合った山岳ガイドさんに教わる事になった。そのガイドさんは「ストックを使いましょう」というストック推進派だった。
またストックを使い始めた。
が、どんどん自分がダメになっていく。どうダメかと言うと、どんどん前傾になりどんどん苦しくなっていったのだ。挙句の果てに前かがみがもたらす膝の痛みで、登山どころか日常の暮らしすら苦しいものになってしまった。それでもガイドさんは「もっと歩く経験を積んだ方がいい」とさらに山へ連れ出そうとした。膝が痛くて歩けない申し訳なさが、さらに前かがみを増加させた。苦しくて、なんのための登山かわからなくなってきた。

ガイドさんが悪い訳ではない。歩き方に苦労したことが無い人は、人の歩き方など見ていないのだ。苦しい理由にも気づかない。単純に経験不足を補う事が良いことだと考えている。それはそれで重要な事であるが、経験の前に正しい歩き方が出来ている前提になっているところが私には合わないのだった。
歩くとか呼吸するとか普通の事が私にはうまく出来ない。

そんなこんなで紆余曲折で一年ほど無駄な時間をかけて遠回りしたが、またストック無しで歩く練習のふりだしに戻った。

お守りとしてストックは持ち歩くが基本は使わない練習が始まった。
姿勢良く歩く事も目標である。
1年間くらい骨格や筋肉やら姿勢の情報を常に収集し試してみた。繰り返し試しながら歩いているうちに歩き方にだんだん安定感が出てきた。段差や岩場の登り下りも怖さが少なくなってきた。
やっと自分の足を信じる事ができるようになってきた。私にとっては何より嬉しい事だ。
姿勢に変化が出始めた頃、膝痛(腸頸靭帯炎)が治ってきた。

身体の使い方は難しい。生まれながらに出来ている人とそうで無い人がいる。そうで無い方の私はいい年になってから苦労が絶えなかった。

ストックを全面否定するつもりはなく、使う前提に自分がその域に達しているかどうかを判断できる事が必要だと感じた。
姿勢良く正しく歩ける人はストックを姿勢を保つための補助道具として使うのは有効である。姿勢悪く正しく歩けない人のようにストックを使って前のめりに依存して歩くようであれば、ストックを使う事はお勧め出来ない事がわかった。まずは正しく歩けるように。
正しく歩く事。これほど難しい事はない事もわかった。
くだんのガイドさんもそういう指摘や指導があったなら信頼をもって継続してお願いしたいところだったのだが残念である。
ただ、全てガイドに歩き方や姿勢の指導を求めるのもそれは誤りである。たまに歩き方等をとても熱心に指導いただけるガイドも存在する。ガイドさん個人個人の特色を見極め自分の目的に合ったガイドを探す事が必要だという事だろう。

ストックをやめてから私の山は広がって行った事は言うまでもないな。
山は楽しいなぁ。

登山において姿勢・歩き方については述べられている事は少なく曖昧である事が多い。そういう悩みがある場合はランニングやトレランをキーワードで検索すると役立つ情報がワサワサ出てくるという事を参考までにお知らせしておく。

ps 姿勢とか歩き方とか呼吸についての詳細はまた別途詳細に述べたいと思う。