一歩一歩を大切に

山は人生を変えるのか?を知りたくて山に行く!

【北アルプス】2015/08 折立登山口へ行ってみたい(3)

雨と白いガスに包まれながら太郎平小屋に到着した。

ここに来れただけでも相当嬉しい。北アルプス初心者だからね。

受付をした。大事に持ってきた登山届も出した。「明日は?」と聞かれて「明日はもうおります〜」というと「えー勿体無いよ。是非薬師岳行って下さい!」とおススメされ「はい」と答える。小屋の方は登山届のコースのところに丁寧に「薬師岳」と追記してくれた。

自分の布団に案内してもらう。靴はここにおく、トイレはこちら、水道の水は飲めます、夕食と朝食の時間。

自分の布団の場所を把握したら、濡れたものを乾燥室に持っていく。干す場所が見つからないくらいぎっしりだ。この雨の中、登山客がいっぱいなんだな。

何人か眠れる布団エリアの壁側に。反対の壁側にも1人旅の女性。お休み中のようである。ザックが大きい。私も肌寒いので布団にくるまって夕食の時間を待つ。

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夕食の時間になり食堂へ。小屋のどこにいたんだろうと思うくらいたくさんの人が並んでいる。

ご飯が美味しい。おかずは鶏肉の大きなフライだ。野菜のおかずも程よくあり、魚の昆布締めも添えられ、それはそれは美味しいかった。山とはいえ、魚王国富山県だ。

手作り風な箸置きも可愛いな。

私は1人で黙々とご飯を食べている。周りの登山客はワイワイとお話しをしている。ふと静かさが途切れた一瞬、ハスキーな女性の声で

「あーウラギンね」という会話が聞こえた。

カッコいい!裏銀座をウラギンとか言ってみたいよ、まったくもう!

まだまだ私には学ぶ事がある。

食後、下駄箱の前を通る。私の登山靴が頼りなげに見える。自分では随分奮発して買ったつもりのトレッキングシューズであった。だが、並んでいる靴を見比べると太郎平小屋から更に先の山に行くにはもっと本格的な登山靴が必要なんだ、と肌で感じる。よし!来年こそは!私ももっと奥深く山に触れてみたい!靴、靴、靴!

 

夜は疲れも手伝って爆睡だ。19時に寝るって、すっごい非日常でありながら、身体が休まる。

 

激しい雨の音で目が覚めた。

もうすぐ朝食の時間である。

朝ごはんをおかわり2杯。食欲絶好調であるが、やはり本日はこのまま降りようと決めた。

薬師岳はまた今度、もうちょっと勉強してからだ。

同じスペースを共にした隣人が話しかけてくれた。

「どこまで行くんですか?」

「雨が強くなったので降ります。本日はどちらまで?」と聞くと

薬師岳を通ってスゴ乗越まで。でも危なさそうだったら薬師岳山荘で停滞かな。室堂まで縦走したいんで。」もの静かなトーンで淡々と話すタイプの方だ。すごく素敵な人だった。そうか、そっちにも行けるんだ。道は色々繋がっているんだ。

室堂。まだ行った事がないな。どんなところだろう?

 

支度をして、山小屋に礼を言い、外に出た。

小屋前で一旦あたりの風景を見回す。色々な方向に矢印がある標柱が目にとまる。

すごい!太郎平はあちらこちらに行くスタート地点なのだ。想像しただけで夢が広がる。

ところで「雲ノ平」って素敵な地名。

どこだろう?

そして「雲ノ平」という名前はしっかり私の心にインプットされた。

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太郎平小屋を出たしょっぱなの木道。水の流れがすごい。木道が沈んでいた。

ゆっくりっくり歩く。幸い風はさほど強くないので元気に歩ける。登山道を流れる水が渓流のようだ。2日間、一部の風景しか見えなかったが、感覚的には「私の好きな風景!」と心踊る。是非晴れた太郎平にも来てみたいと心に誓う。
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樹林帯に入る。下りは息が上がらなくて嬉しい。るんるん下る。

やがて折立登山口に戻ってきた。折立登山口には飲み物自販機がある。たった2日間山で過ごしただけで、「自販機!文明だ!」と思える。

そして、山から降りると飲みたくなるコーラがあるのだ。炭酸一気飲み。はー気持ちいい。

折立ヒュッテ内のスペースで雨具を脱いだり、ザックの再パッキングをする。

予約してある富山駅行きのバスまでまだ2時間ほどあるので、ゆっくりくつろぐ事にする。

川のような登山道をおりても、登山靴内に水が入る事は一切なかった。すごいぞスカルパミトス MF GTX!トレッキングシューズだけど、さすがである。

すると程なく女性2人がヒュッテ内に入ってきた。昨日会った、爽やかにスイスイ登るテント泊女子と初対面のテント泊可愛め女子である。テント場は水の流れが多く、テント下が川みたいになってたので撤収したとのこと。可愛め女子は新穂高まで行くつもりだったのに、雨がやみそうもなく下山。富山から帰るとのこと。すると大学生ワンゲル部団体様も雨で二日間粘ったけど晴れそうもないので、薬師岳諦めて下山だそうで。

雨は雨なりにみんなおしゃべりになり、意外と楽しいなと思った。

大学生ワンゲル部団体はタクシーをチャーターしていた。タクシー社員が「あと3人のれるよ。みんなで割ると安くなるよ。」と嬉しいお声かけ。私は帰りのバスチケットを購入していたが、時は金なりと思い、タクシーに便乗させてもらう事にした。

タクシー内の最後列に女子3人並ぶ(私も一応女子としてカウントする)。爽やか女子が「今まで驚いたトイレベスト3!」を話し出す。ベストかどうかは何とも言えないが。まだ私は山小屋に詳しくなかった事もあり覚えられなかったが、「手作り和式便器」の話は衝撃だった。それはトタンで出来ており、ちょっとしか出ないのに音が大反響して凄いからたくさんした気になるという話である。大爆笑である。OL登山者達の話に大学生はどう思うだろうと心配になったが、皆眠っていた。もしかしたら寝たふりで聞こえないようにしていたのかもしれない。気を使わせちゃったかな。

富山駅で皆様とお別れし、北陸新幹線へ。初めてだ。指定席も取れたので、ますの寿司弁当と黒部のお茶的なものを買って乗り込む。2時間ちょっとで上野到着。北陸がこんなに近いとは!!!これは頻繁に行っちゃうかもね。

 

折立に行ってみたいという気持ちで行って見たけど、なんだかとてもお気に入りの場所になった。またここから登山スタートしたい。

小さな出来事一つ一つが、私をもっと深く登山の世界に引き込んで行く。

そんな満足感に包まれながら、無事帰宅。

ああ楽しかった。