【北アルプス】2015/07 燕岳に行きたい(1)
ブラックなプロジェクトに在籍していた。
休みがなかった。
帰りは深夜タクシーだった。
しばらく山に行けない日々が続いていた。
夏が始まろうとしている。
◾︎始まり
以前冬に登山靴を購入した際に登山ショップの店員さんの言葉「燕岳」と言うキーワードが頭の中でどんどんクローズアップされてきた。
それ以前に
燕岳ってどこにあるの?
という恐ろしい程の無知であった。
「燕岳を知ろう」と言う所からのスタートである。
調べて程なく、「北アルプスにある山」という事がわかった。
北?アルプス????? なんじゃそりゃー!である。そもそも、山歩きはしていたものの関東周辺から出た事が無いのである。
「北アルプス。。。。」呟いただけで、おでこと背中と手のひらに脂汗が滲んだ。
北アルプスには行けない、まだ。私の実力では。
するとネット上にある燕岳の写真が目に留まった。
見たこともない美しさ、想像した事もない美しさに胸を射抜かれた。
行く実力は無いが見たい。見たい。この目で見たい。
見たい。でも行けない。でもやっぱり見たい。
暫くの間、自分の中で葛藤が続く。
葛藤の結論が出る前に、地図を買ってみた。
地図上の登山口は「中房温泉」となっている。そこに行ける交通手段はあるのか?という事が気になった。何日あれば行って帰って来れるのかも気になって眠れない日々が続いた。
◾︎どうやって行くの?
調べているうちに「毎日あるぺん号」と言う登山用の夜行バスが都内から中房温泉へ出ている事に気がついた。
夜行バス。。。。呟いただけで、これまた脂汗が滲む。私はバスは苦手なのだ。夜行バスなんて乗るものかとずっと思っていたクチである。
夜行バスには乗れない。酔うもん。ゲロゲロになってひんしゅく買いたくないもん。お腹痛くなるもん。でも乗る?どうする自分。。。。
登山で、別の所にある忘れかけていた超苦手ポイントがクローズアップされる事になるとは、人生とは色々な所に落とし穴ありだな。
しかし、その毎日あるぺん号を利用すると早朝登山口に到着し、登って、山小屋に宿泊し、翌日には東京に戻れると言う1泊2日で行ける所だという事がわかってきた。
まだモヤモヤして決められない。
◾︎登山道って危険?
場所や交通手段周りをなんとなく把握すると、やはり気になるのは「私は登る事が出来るのか?」と言う点である。
「合戦尾根の急登を行く」なんて言う説明を読むと、「やはり10人のうち3人くらい落ちちゃうのだろうか?」そんな勝手な妄想を毎日真剣に考えていた。
YouTube で偶然6時間に及ぶ動画を見つけた。中房温泉から山小屋までの登山道をずっと撮影したものである。
落ちそうな所はなかった。
だが、やはり今ひとつ自信が持てなかった。
やがて、ブラックなプロジェクトが終了する。
1週間のプロジェクト休暇を取得出来る事になった。
さあ、どうする自分。。。。
続く