一歩一歩を大切に

山は人生を変えるのか?を知りたくて山に行く!

【初心者登山】2012/05 鋸山−初めての遭難?

初めての登山で筑波山に行ったが、想像以上によれよれ状態になったため、もう少し緩やかな山は無いかと日帰り登山ガイドブックを見つめ続けた。

房総の鋸山が良さそうである。

筑波山から1日置いて、鋸山へ行く事にした。

 

登山ウェアは筑波山の時と同じ、ほぼパジャマスタイルに登山靴である。ザックも同じ。

今回はペットボトルの水を1本追加した。

 

内房に行く電車には人気も少なく、やがて登山口のある浜金谷駅に到着した。

駅のトイレに寄っておく。

改札を出てから登山口まで市街地を通ってスムーズに到着。前もって地図をよく見ていた甲斐がある。

1番王道のコースから入る。

階段の続く道である。

山の階段が辛いのは私だけでは無いだろうが、早速息切れが始まる。どう呼吸して良いかも分からず息を吸う事に専念したが、全く効果無し。勿論逆効果だという事は後で知る事になるのだが。

山登りというものは、かくも息苦しいものなのかと思いながら石切場に到着。

想像より断然迫力がある石切場。ひんやりとした空気が気持ち良い。

地球が丸く見える展望台を経由してこじんまりとした鋸山山頂へ至る。

海が近いせいか、とても大きなトンビが空を飛び交っている。東京湾から太平洋まで見える展望は低山とは思えないくらい美しい海を鑑賞出来た。時間も午後を過ぎたせいか人も少ない。下山路に向かう尾根道の木々も良い景色だ。

私は風景を見ながら歩いていると不意に足元が横滑りした。木の根っこを踏んだ登山靴が勢いよく滑ったのである。そのまま私も横に倒れ、尾根から数メートル落ちた。身体がゴロゴロと回転する。重い登山靴は身体の回転に伴う遠心力であらぬ方向に足を持って行こうとする。つま先の向きも遠心力で強制的にあさっての方向に向かされた。そして左足首からスネにかけて激痛が走った。

身体の回転が止まったが、左足が動かせない。

重い靴が痛かった。

左の靴を脱ぐと楽になったが、足がみるみる腫れ出した。痛くて左足をつく事が出来ない。立つ事も出来ない。

そして誰もいない。

私の考えた事は「山から出よう」。

幸い下山できるルートはわかった。沢に降りるコースだが、鋸山1番の急坂コースである。

私はお尻を付いたまま移動するしかなかったが、これが思いのほか早く移動出来る。急坂もホイホイ降りれる。だが、歩くよりは全然遅い。お尻での移動中にも誰1人にも会わない。すると辺りがだんだん暗くなってきた。夕暮れだった。暗くなる前に山を抜け出したかったが叶わなかった。

登山装備は登山靴しか持っていなかった私である。当然ヘッドライトなんて持つはずもなく、沢に降り立った。急坂が終わった沢沿いはお尻移動がしづらく、立ってみる事にした。左足の足裏を地面に着地させると想像を絶する痛みが走るが、踵だけ接地するとそれほど痛く無い事に気付いた。手当たり次第に手が触れるものにつかまって少しずつ歩を進めた。折しもその日はニュースでもやっていたが、ビッグムーンであった。森の中もやや明るい。

そしてこの日の核心とでもいうか、手掘りの暗黒のトンネルの前に出た。

真っ暗で、なんだか無茶苦茶怖い。

だが、足が痛い私は怖いなんて言ってられない。ひんやりした土壁にもたれながらトンネル内を進む。これはいい感じに通過できそう、、なんて思うとそうはいかなかった。このトンネル内には無数の横穴があいていて、暗闇の壁を手で触りながら進むと忽然と壁が無くなり、横穴に倒れ込んでしまう。という事を数回繰り返す。泣き面に蜂ってこういう事なんだろうな。泣けた。

トンネルも無事通過し、少し長めの林道っぽい道を歩く。踵を使った歩きも板についてきた。やがて民家の灯りの場所まで来れた。

下山の安堵感に包まれる。自販機でコーラを買った。

道がアスファルトに変わると踵をついて歩くのが痛い。

お尻で急坂を滑り降りて来たため、ジャージのズボンやレギンスなどが裂けるように破れていてお尻丸出しだった。よれよれのパーカーを脱いで腰に巻くとビリビリに破れたお尻は見えない。

浜金谷駅から電車に乗る。左足はもう痛くて地面に着く事はできない。脱いだ登山靴を手に持ち、ケンケンしたり、つかまれる手すりは総てつかまり、電車バスを乗り継ぎ、なんとか帰宅。

帰宅したものの動く事が出来ない。家にあったガムテープで足を固定する。かなり楽だ。

翌朝マツキヨでテーピング用テープを購入。GWも最終日であった。

その翌日の出勤日は横浜までの出張だった。テーピングで足をガッチリ固定して通勤電車に乗って仕事して、職場に戻る時にはあまりの痛さでそのまま整形外科に行った。足の骨にはものすごい亀裂が入っていた。石膏で固定。

重い。

 

私は山に嫌われている。

多分相当未熟だからだ。

2012年の私の山歩きはこれで終わった。

松葉杖生活がスタートした。

 

私はまた山に行く事になるにだろうか?

よくわからなかった。

そしてこれは遭難だったのだろうか?

それもよくわからなかった。

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